生命保険料控除目的で終身保険に入る場合のポイント

2023年12月10日

はじめに

節税目的で保険に入る場合のポイントについてお伝えします。

ここでは会社員の積立による資産構築方法をお伝えしています。

保険加入の際も、掛け捨てでなく、積立目的で入る方法をご紹介します。

ここでは、生命保険料控除の中でも、「一般の生命保険料控除」枠を使う際の注意点をお伝えします。

一般の生命保険料控除とは、生命に関わる保険を加入した際の控除枠になります。

例えば、終身保険、養老保険、定期保険などの保険種類がこれにあたります。

現在小さいお子様がいらっしゃる場合の世帯主の場合は、大きな額の生命保険(定期保険や収入保障保険)にご加入の場合もあるかと思います。

定期保険や収入保障保険は基本的に掛け捨ての保険ですが、必要な保障額であれば、こちらの加入は必要です。

しかし、死亡時にお金を残す必要がない、独身やお子様がいらっしゃらないご家庭、DINKSなどの共働き世帯はこれらの定期保険・収入保障保険は必要でないケースが多いです。

そういった場合、どの保険でこちらの一般生命保険料控除枠を使えばいいのかを解説します。

終身保険加入時のポイント

終身保険とは、一般的には、死亡の保障の保険になります。

死亡というと、死亡時の保障はいらない、という方もいるかと思います。

ただし、こちらの保険は死亡保障が欲しくて入る方ばかりではありません。

貯蓄目的で入る方も多い保険になります。

ここでは、会社員の積立、資産形成について紹介しておりますので、貯蓄目的で入る際の注意点について書きたいと思います。

  • 払込期間を短く設定する

終身保険は、以下のような払込期間があります。

払込期間とは?保険料をいつまで払うかという、保険料の払込の期間のことです。

  • 終身払い・・一生涯払うもの。
  • 歳払済・・50歳、55歳、60歳、65歳まで払うと○際まで払うと設定するもの
  • 年払済・・10年、15年、20年間払うと設定するもの

払込期間を、終身(一生涯払う)ものから、期間を設定するものなど選ぶことができます。

払込の期間を10年、15年と短くすればするほど貯蓄効果を高める事ができます。

終身払い

メリットは、保険料を安くできる点になります。

デメリットは、貯蓄効果が薄まる点です。

途中解約時、支払った保険料の60%〜40%程度しか戻ってきません。貯蓄目的で入る方は選んではいけません。

60歳・65歳払済

よく案内されるのはこちらのプランです。

60歳まで、65歳まで払えば、その後元本を回復します。

60歳まで、65歳までの期間が20年〜30年の場合、その期間はずっと払い続けなければなりません。

途中で支払いをやめると元本を割ってしまいます。

10年払済・15年払済

10年間、15年間支払えば、その後、保障が一生涯続き、解約時には、元本+アルファが戻ってきます。

払込期間は、10年、15年など選べる会社が多いです。

短期と言っても、2年、5年にしますと、生命保険料控除を2−5年しか使えなくなります。

控除目的で入るには短期すぎます。

また、保険料も高額になってしまいます。

10年や15年であれば、月々1万円前後の比較的入りやすい金額から入れます。

生命保険料控除は年間保険料が最大8万円(旧制度は10万円)が上限です。

単純に生命保険料控除目的であれば、年間保険料10万円程度で最低限で入るのがいいでしょう。

払い方

月払いより、半年払い、年払いを選択する事で貯金効果を高められます。

まとまった資金がある方は、年払いで、全期前納を選択すると、前納割引も効きます。

「前納」は「一時払」と違って、仮に全期間をまとめて払い込んでも、「払込期間中」は生命保険料控除を使えるのが特徴です。

終身保険加入時の注意点

払込期間中は、解約金が少ない、低解約返戻金型が今主流になっています。

低解約返戻金型とは?

払込期間中の解約金を少なくする代わりに、保険料を安めに設定した保険です。

この保険の注意点は、払込期間中に解約してしまうと、元本の40-70%前後しか戻らない点です。

せっかく節税目的で入っても、払込期間中に解約して元本が割れてしまったら損になります。

このタイプの保険に入る場合は、保険料を確実に払える期間にして入ることです。

巷に案内されているプランは、払込が終わるまで、長い期間に設定されているプランが多いです。

なぜなら、この方が保険会社も、案内する代理店にもメリットがあるからです。

保険会社としては、支払い期間が長ければ長いほど、途中で解約する確率が高まります。

保険会社としてはその方がもらった保険料より、少なく返せばいいので儲かります。

募集代理店も、払込期間が長い契約の方が、もらえる手数料が増えます。

私は、支払い期間は10年、15年のなるべく短期で設定することをおすすめします。

20年先、30年先どうなっているかは、誰も分かりません。

万万が一払えなくなると、損をしてしまう可能性が高まります。

期間が伸びれば伸びるほど不確実性は高まります。

なるべく短期で予測しやすい期間にするのがポイントです。

終身保険には、低解約返戻金型でないタイプもあります。

こちらの方が少し保険料は高くなりますが、元本回復までの期間が短くなるケースもあるので、比較してみるのがおすすめです。

外貨建て終身保険

外貨建て終身保険とは、支払い時の保険料、保険金額が米ドル、オーストラリアドルなど外貨で設定されている終身保険です。

仕組みは円建ての終身保険と同じです。

現在は円建てのものはじめ、ドル建ての終身保険も売れ筋です。

ドル建ては円建てより、利率が高くなります。

最近では、インフレ原因の金利上昇により、保険会社、銀行の窓口、保険代理店でもこぞって販売しています。

外貨建て終身保険の注意点

為替変動のリスクがあります。

外貨建ての終身保険は、支払い時の保険料が、100ドルなど外貨建てで設定されています。

1ドル100円の時と、130円の時では支払い保険料が3割も変わります。

例えば、毎月100ドルの保険料で1ドル100円でしたら、10,000円ですが、1ドル130円になると13,000円になります。

昨年のように、急激な円安が進むと、資産価値は高まる一方、支払保険料が増えます。

昨年は、110円から150円まで変動しましたので、月々11,000円だった場合でも、15,000円に支払保険料が増えていたことになります。

こういった変動で支払保険料が増えて厳しいという声も多いです。

ドル建てにする場合は、急激な為替変動があっても大丈夫な支払保険料にする必要があります。

その他、一般の生命保険料控除枠で使える商品で、貯蓄性がある商品は、以下のような種類があります。

日本はマイナス金利の影響で、基準金利が低くなっているため、貯蓄性の保険には厳しい時代が続いてきました。

今後は諸外国同様、金利が上昇する可能性もあります。その場合、現在より魅力的な保険が出てくる可能性があります。

  • 養老保険
  • 会社で提供している、積立年金など

まとめ

今回は、一般の生命保険料控除適用の保険を貯蓄目的、控除目的で入る場合の注意点についてお伝えしてきました。

次回は個人年金保険料控除を使う際のポイントについてお伝えしたいと思います。

毎月のキャッシュフローに余裕がある方は検討してみてください。