外貨建て保険について理解しておくべきデメリット

2023年12月16日

はじめに

現在アメリカの政策金利が5.25-5.5%になり、歴史的に見ても高水準になってきています。

そこで、金融機関が積極的に案内しているのがドル建ての終身保険。

しかし、ドル建ての保険にも注意点がいくつもあります。

知らないと、とんでもない落とし穴が待ち受けていることもあるかもしれません・・

契約する前に確認していただきたいチェックポイントについてお伝えします。

為替リスク

まず一番が、為替リスクについてです。

金利5%付きますよ!ということに踊らされているとこちらを見落としがちです。

また、そもそも、1ドルいくら・・

何万ドル・・という普段見慣れない数字を見せられて、理解できないまま契約してしまう人もいます。

為替リスクとは??

為替は日々、変動しています。

現在1ドル150円だったとして、1年後、1ドル120円なんてことも起こり得ます。

一般的に、ドル建ての終身保険を始める人はドルをもともと持っていない人です。

その場合、円をドルに変えなければいけません。

例えば、1ドル150円の時にドルに換えると、300万円は

300万円÷150円=20,000ドル

で20,000ドルが手に入ります。

これを円に再度戻すとき、

20,000ドル×120円=240万

となり、もし、上記のような変動があったら、元本は減ってしまうのです・・

ここは基本的なところなので、完全に理解したうえでないと、ドル建てに手を出すのは危険です⚠

為替手数料が高い

ドル建ての終身保険等、外貨建ての保険に入る際は、円をドルにかえなければいけません。

その際にかかるのが為替手数料です。

為替手数料は、銀行、証券会社、保険会社、街の両替所どこでもかかります。

金融機関円→ドル 為替手数料
保険会社0.5銭
大手都市銀行1円~
ネット銀行0円~0.15銭
証券会社0~0.5銭
両替所12~35銭

保険会社の為替手数料は、ほかのネット銀行などと比べると、高い手数料をとられます。

例えば、先ほどの例で、300万円を1ドル150円の時に、20,000ドルに変えると、

20,000ドル×0.5で円をドルに替えたとき10,000円、

さらにドルを円に戻したとき10,000円の2万円がとられます。

年金形式で受け取ると、雑所得になり健康保険料が上がる?

受取方法にも留意が必要です。

最近、年金の足しにと、年金形式で利息を受け取れるタイプも出てきています。

ただし、こちらの受け取り方法には注意点があります。

受け取った利益ー必要経費の残った部分が雑所得となり、国民健康保険料等が上がる可能性があります。

国民健康保険料の「所得割」の部分に影響します。

例えば、年間50万円の雑所得を受け取った場合、所得割は地域によって違いますが、3~10%

50万円×3%=15000円

せっかく利益分を受け取ったとして、保険料が上がってしまったら受取金額が減ってしまいます。

この部分も考慮して受け取り方法を決めなければいけません。

受取方法は一括受取にメリットあり

受け取り方法を一括にすると、50万円の利益までは、課税されません。

例えば、500万円一時払いで払って、50万円の利益が出た場合、

550万(解約金)−500万(当初支払額)=50万−50万÷1/2=一時所得

こちらが0でしたら課税はされません。

終身保険は減額や一部解約でもこちらの計算になるので、分割受取より、一時所得としての受取の方が、税制面では優位となります。

解約時の手数料にも要注意

一般的には、契約から10年未満で解約した際に、【解約控除】が行われます。

解約控除は、積立金の最大で10%に相当する金額が差引かれます。

これがあるので、短期の運用資金としては向かないケースが多いです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

一時払終身保険などを運用目的で提案するFPも多いですが、これらのデメリット、リスクも把握した上で契約しないと痛い目にあう場合があります。

終身保険は本来、運用目的でなく、死亡保障がメインの目的です。

運用したい資金は短期に使う可能性があるか?

10年以上動かさなくていい資金か?

しっかり検討した上で契約したいものです。

契約前に上記ポイントも考えた上で、検討してみてください。